

南山梨、朝活のススメ。
南山梨ってどんな場所?

山梨といえば、甲府や、県北部にある北杜市、ワインの甲州などが有名どころ。一方の南山梨(南部町、身延町、早川町、市川三郷町、富士川町、南アルプス市の5町1市)は、山梨の南部に位置するマイナー!?エリア。知名度は高くないけど、ここにはまだまだ知られていない魅力がたくさん眠っているんです。
今回のツアーは、そんな5町1市の「朝」にフォーカスした内容で、ビームスからツアーに参加するのは、フォトクリエイティブ課の中村さん&深田さん。では、意気込みをお願いします!

「私は山梨県出身なんですけど、この辺はまったく来たことなくて、はじめてと言っていいくらいです。どんな体験ができるのか未知数ですが、とにかく楽しみたいです!」(中村)

「この場所に降りたった瞬間から空気が違って、ちょっと神聖な気持ちになりました。写経とかも結構楽しみ。まったく知らないエリアなので、街の魅力を存分に味わいたいと思います」(深田)
身延山の宿坊で、静かに過ごす夜。

ツアーのはじまりは、身延山久遠寺の朝のお勤めを見学するところから。集合時間は午前5時です。そのため、前泊は必要不可欠。ちなみに「みのぶさん くおんじ」と読みます。
とはいえ、久遠寺がある身延山にはラグジュアリーなホテルもないし、手頃なビジネスホテルもない。あるのは「宿坊」です。


宿坊とは、寺院や神社が運営する宿泊施設のこと。もともとは巡礼者や修行者のための簡素な宿泊所として始まったのですが、現在は一般の旅行者も利用できるようになっています。身延山には約20の宿坊があり、個性はそれぞれ。今回、2人が泊まったのは「身延山 北之坊」という宿坊です。



「かなりストイックな場所なんじゃ……」と最初は不安がっていた2人だけど、全然そんなことはなく、客室にはテレビもあって充電もできるし、携帯の電波もバリバリ届いている。大浴場だってある。地元のものを使った夕飯はシンプルな味付けで、どれも滋味深い。


ちなみに、周辺は飲み屋もないし、コンビニもありません。そんな削ぎ落とされた環境で過ごす時間は、忙しい現代生活から離れ、自分自身と向き合う貴重な機会でもあります。前日から非日常的な空間でアイドリングしながら、22時に消灯し明日に備えます。
朝のお勤めと精進料理で、心身を整える。

仏教の国である日本。
主要宗派には天台宗、真言宗、日蓮宗の三つがあります。その総本山は、天台宗が比叡山延暦寺(滋賀・京都)、真言宗は高野山金剛峯寺(和歌山)、日蓮宗はここ、身延山久遠寺です。
身延山は日蓮聖人が波乱に満ちた生涯の晩年を過ごした地として知られていて、仏教の歴史においても、日本の歴史においても重要な場所。文化財が多数所蔵されており、仏教美術の宝庫としても知られています。年間を通じて多くの参拝者が訪れ、祈りと癒しの場として人々の心の拠り所となっています。

ツアーのはじまりは、そんな場所での朝のお勤め体験から。
身延山久遠寺の朝は、大鐘をつくところからはじまります。体を目一杯使って鐘をつく様子と、鐘の音は、眠気を一気に吹っ飛ばしてくれます。



そのあとは厳かな本堂で、僧侶たちが日蓮聖人の教えに基づき「南無妙法蓮華経」の題目を唱え、経典を読誦(どくじゅ)します。薄暗い堂内に響く木柾の音と読経の声は、神秘的で、心が鎮まります。


「正座するのかと思っていたんですけど、椅子だったので全然つらくなかったですね。お経の音が心地よくて、30分があっという間でした」(深田)



参道には江戸時代から続く287段の石段があって、信仰の道のりを象徴しています。一段一段の段差が高く難易度は高め。よほど信仰心がある人か、よほど健脚の人以外は、遠慮したほうが身のためかも(経験談)。



お勤めを見学し終えて、時刻は朝6時。次は朝食タイム。

仏教では不殺生の教えから肉食を避け、植物性の食材で作る精進料理が発達しました。特に大豆から作られる湯葉は、タンパク質が豊富で肉の代替となることから、寺院の食文化に深く根付いています。
身延山の湯葉は、富士山の伏流水という清らかな水で作られることが特徴です。豆乳を薄く広げて熱し、表面に張る膜を丁寧に引き上げて作る湯葉は、刺身風に、揚げ物に、吸い物の具に、あるいは甘味として様々な調理法で提供されます。

久遠寺からほど近い喫茶室「園林」でいただくのは身延杜露里湯葉丼(みのぶとろりゆばどんぶり)。お出汁がきいた湯葉に、地元で採れた大きな椎茸がのった滋養食です。オーガニックで、もちろん無添加。



「滋養食って味気ないものだと思っていましたけど、旨味もしっかり感じられておいしいです。椎茸もホント肉厚で、噛んだ瞬間に旨味が溢れます。杜露里という名前だけあって、湯葉はもうトロットロ!」(中村)
写経で精神を研ぎ澄まし、トレッキングで心を開放。

「知識としては知っているけど初めて」という2人が次にトライしたのは、写経。
写経とは、仏教の経典を一文字一文字丁寧に書き写す修行法のひとつ。一文字一文字に集中し、呼吸を整え、心を静めながら書き進めることで、自然と瞑想状態に入ると言われています。現代人が日常的に抱えるストレスや雑念から解放され、「今、ここ」に意識を集中させていきます。



普段はスマホが鳴るたびに画面をチェックして、PCの画面とにらめっこして複数タスクをこなす現代人。家ではネットにストリーミングとデジタルだらけ。だからこそ、一文字一文字を書くことだけに集中するという極めてシンプルな体験は、新鮮で希少なものです。


ひと通り心得を学び、写経すること30分ー。

「途中からは、まさに『無の境地』って感じだったかも。一瞬でしたね。家に帰ったら、額に入れて飾ります(笑)」(深田)
写経はお手本の文字をなぞっていくだけだけど、完成品はまったく異なる。性格が如実に現れるらしく、2人とも、なんかいい感じです。
精神を整えたあとは、ちょっとだけ移動し、次は身体に刺激を与える! 旧五千円札にも描かれる富士山を見るために、中ノ倉峠展望台までトレッキング。

登山道は本栖湖畔から始まり、展望台までは約30分。初心者でも楽しめる優しいコース。訪れたのは3月中旬だったけど、展望台付近には雪もチラホラ。勾配が激しい場所もあるため、歩きやすい靴での訪問がおすすめです。



展望台に到着すると、眼前に広がる本栖湖の富士山の雄大な姿のコントラストがお目見え。


やっぱり迫力がすごい。富士山ってキレイ! 今回は、到着したのはお昼頃だったため見られなかったけど、早朝は風が穏やかで湖面が鏡のように静まるため「逆さ富士」の出現確率も高いそう。とはいえ、この角度とこの大きさの富士山は、やっぱりすごい!
ビームスがセレクトした南山梨の特産品を、道の駅富士川で。

2015年にできた「道の駅富士川」。
道の駅と聞くと観光客が訪れるイメージがあるけど、ここのお客さんはほとんどが地元の人たち。契約農家800件(県内屈指!)の農作物が集約されていて、スーパーに比べても安くて新鮮だから、地元の方たちも多くやってくるそう。南山梨の野菜は、昼と夜の寒暖差が大きいため、自然と甘みが増してどれも美味。


併設される展望台でいただいたのは「こしべんと」と呼ばれるお弁当。南山梨の各所で採れた食材をふんだんに使ったお弁当は、山の幸はもちろん、富士桜ポークや信玄鶏など、地元のお肉もうまいんだなぁ。

また、静岡に近いこのエリアはお茶の産地としても有名で、全国で流通しているお茶とは、香りも旨みも格段に違います。道の駅では、それらの茶葉も購入可能です。


そして「道の駅富士川」に、今年の3月にオープンしたのが、ビームスがプロデュースしたお土産コーナー。5町1市で作られている魅力的なフードや、家を彩ってくれる民芸・工芸品などを厳選し、販売・展示しています。

周辺のスポットを紹介しているガイドブックも置いているので、ぜひ、観光の参考に!
南山梨の朝活は、三文以上の徳をもたらしてくれる。

南部町、身延町、早川町、市川三郷町、富士川町、南アルプス市。南山梨に広がる5町1市は、外国人観光客はおろか、日本人にもあまり知られていない穴場です。とはいえ、教科書に載るほどの歴史を誇り、特有の文化が根付き、食文化も豊かで見どころは豊富です。静かな空気の中、クラシックな日本を体感できる数少ない場所でもあります。そして、朝の時間を大切にする暮らし方や、一つのことに集中することの心地よさ、自然と調和した食事の素晴らしさなど、日常に持ち帰りたくなる価値観が随所に息づいています。
「まだ、こんな時間なんだ!?」とは、この日、お二人から度々発せられた言葉。なんたって、朝5時から活動しているわけだから、1日がとにかく長い。お二人、そんな南山梨での朝活ツアーはいかがでしたか?

「山梨出身ですけど、実際に参加してみて、南山梨がこんなに壮大だったんだと初めて知りました。富士山もエネルギーが想像以上だし、朝のお勤めも清らかな気持ちになりました。知らない山梨がたくさんあったし、早起きは大変でしたけど(笑)、早起きして良かったです!」(中村)
「山梨は数回しか来たことなくて、イメージは桃とかブドウとか信玄餅。今回はそんなイメージとは違う山梨ばかりで、自分にとって新しい体験がたくさんありました。忙しい東京生活だからこそ、たまには『非日常』に飛び込んでリセットすることの大切さも実感しました」(深田)
ここでしか味わえない体験や食材が豊富な南山梨。多くの人に知られてしまう前に、南山梨の贅沢な朝を、ぜひ体感してみては。
Profile
中村愛海
1994年生まれ、山梨県出身。2017年にビームスに入社。神奈川などで販売スタッフを経たのち、フォトクリエイティブ課の所属に。最近はピラティスにハマり中。
深田真実
1990年生まれ、埼玉県出身。2014年にビームスに入社。販売スタッフとEC担当を経て、2021年からフォトクリエイティブ課に在籍。現在はゆるく、グルテンフリーに挑戦中。趣味は旅行で、国内海外問わず飛び回っている。
ハイクオリティやまなしの特設サイト
山梨の魅力を掘り下げ、山梨が目指す次世代社会を紹介する県公式のオウンドメディア「ハイクオリティやまなし」にて、南山梨の魅力を網羅した特設サイトが公開中!合わせてチェックを!
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