#04

(HOUSE)

DESIGN

〈HAPPY OUTSIDE BEAMS〉が作った、中と外が繋がる家。

相良祐基
(ビームス チーフインテリアデザイナー)
〈HAPPY OUTSIDE BEAMS〉(以下、HOB)は、これまでもあらゆる商品を生み出してきたけれど、今回は「LIFE LABEL」と手を組み、HOBの「あったらいいな」を詰め込んだ家を作った。数年かけて完成した住宅にはどんなこだわりが隠れているのか。ビームスのチーフインテリアデザイナーである相良祐基さんの言葉をたどり、その魅力を紐解いていく。

自身のバックボーンとHOBの思いを混ぜながら。

「HOBらしい家ってなんだろう、というところからはじまりました。そうなったときに『外』というテーマは欠かせなかった。そこからチームで議論して辿り着いたのが『屋内でありながら外にいる気分を感じられる家』というコンセプトでした。空と太陽が近くに感じられるような場所にしたいと思ったんです」

詳細は後述するとして、1階には寝室や浴室、クローゼットがあり、太陽に近い2階に多くの時間を過ごすリビング・ダイニングがある。そこから地続きに繋がる巨大なアウトサイドリビングが、中と外を良い意味で曖昧にしてくれている。HOBのコンセプトを大切にしながら、相良さんの趣向がデザインに落とし込まれているのだ。

ここで少し、相良さんのことを。彼が本格的に建築やインテリアデザインに興味を持つきっかけとなったのは、20歳のときに初めて訪れたヨーロッパ。オランダ、ドイツ、デンマーク、スウェーデンを1ヶ月かけて周遊し、そのときに見た美しい街並みや建物が忘れられず、デザインの世界に傾倒していった。その後、再び渡欧し、見識を広げるために1年間滞在。そこで受けた影響や培った経験が「SUNNY TRACK HOUSE」に見て取れる。

「検討を進めていく中で、主に1900年代前・中期を中心に活躍した建築家の作品から大きな影響を受けました。例えば、フィンランドの建築家のアルヴァ・アアルト。彼の家具や建物が好きで、実際にヘルシンキに足を運んだこともありますが、有機的なモダンさや建築の形状においてもインスピレーションの一部となっています。そこにHOB独自の文脈を混ぜ込んでいって『SUNNY TRACK HOUSE』ができあがっていきました」

空に浮かぶアウトサイドリビングが、もっと外を感じさせてくれる。

この家を、この家たらしめているのは、なんといっても2階のリビング・ダイニングと、そこから続くアウトサイドリビング。リビングに配された大きな窓を開ければ、中と外が一体になる。屋根の形状もフラットではなく、空に向かうよう斜めに設計されている。

実生活のことも考え、軒が長いのも特徴のひとつ。雨が降ったとき、窓を開けていたとしても屋内が濡れることはなく、 強い日差しも入ってこないよう工夫されている。また、アウトサイドリビングへは家の中を通らず、外の階段からもアクセスできるのも特筆すべき特徴のひとつ。

「この家は、外遊び好きが暮らすことを想定しているので、そうした人たちは外で汚れてくるわけです。キャンプ用具には砂や泥がついたり、サーフィンで海水にまみれたり、釣りグッズは魚臭くなる。家にモノや自分の汚れを持ち込みたくないじゃないですか。なので、家の中に入らず直接アウトサイドリビングでギアやウェットスーツを洗ったり干したりできる場所が必要だと思って。もちろん、大人数でBBQもできるし、愛犬と過ごしてもいいかもしれません」

庭じゃダメなの? という疑問もあるかもしれない。ただ今回は、あくまでプライベートを守りながら、内と外がシームレスにつながる空間作りを目指した。その結果、すべてが地続きでつながるアウトサイドリビングという形に行き着いた。外からも中からも自由に行き来できるアクセシビリティの高さは、日々の暮らしをよりアクティブに、楽しいものにしてくれそうだ。ちなみに、一階浴室にも外から直接アクセスすることができる。

外壁にはレッドシダーウッド。経年変化を楽しめる木材を採用した。そこに取り付けられた階段の仕上げは亜鉛メッキ。マテリアルの選定は何度もトライ&エラーを繰り返し、この形に辿り着いたという。ど真ん中ではない。こうした捻りとセンスが生む抜け感は「ビームス」が得意とするところでもある。

「植物もこの家の大事な要素だと思っていて、例えばアウトサイドリビングから外にグリーンが垂れ下がっている感じもいいし、屋内外との境界線が曖昧な住宅だからこそ、室内にもたくさんあっていいと思っています。ここに住む人たちが、思い思いにアレンジを加えてくれたらうれしいですよね。中にいても外を感じられて、もっと雰囲気が良くなると思います」

秘密基地と有機的なディテール。

次は1階。玄関前のスペースは、クルマの荷下ろしもストレスなく行えるほど広々している。スツールやベンチなんかを置いて、一息つく場所として使ってもいいかもしれない。玄関を正面に見た右手。せり出す形で設置されているガレージもまた外と中の中間地点といっていい。秘密基地のような空間は趣味部屋としての使用を想定している。

「扉を大きく開口してモノの出し入れをしやすいようにしています。仕事や書斎として使ってもいいし、外遊びのための道具を置けるよう棚も設置しているので、趣味の部屋として使ってもOKです。アウトサイドリビングと同じで、この場所も家の中に汚れを持ち込まないための空間として活用していただけたら。土間だからお手入れも気楽です」

かつてのジョブズも、イヴォンも、みんながこもったガレージはクリエイティブの場でもある。いるだけできっと、仕事も、遊びのインスピレーションも湧いてくるに違いない。そして、玄関を開ければ、アールの壁面が出迎えてくれる。

「直線的な形状ばかりではなく、外とのつながりを感じさせる有機的な要素を取り入れたかったんです。特に玄関まわりの壁には意識してRを取り入れました」

玄関から続く空間も広々としていて、階段下にはベンチも設置されている。ひとりになりたいときはこもることもできる。お風呂、寝室2部屋、クローゼットも1階に集約され、生活動線に無駄がない。

「『SUNNY TRACK HOUSE』の玄関まわりは、靴の脱ぎ履きだけの場所ではなく、外との延長線ということで、自由で多目的に使える余白を作りたかった。ここのスペースに一部屋充てるということも考えましたが、余白があることによって、より豊かな空間になると考えたのです」

逃げ場と言っては語弊があるかもしれないけど、かつてあった押入れの中のような使い方もいい。勉強部屋にだってなる。どう使うかは、あなた次第。

家でも外を感じることで、生活がもっとハッピーに。

玄関から続く階段を上がれば、そこは中と外の境界線。陽がたっぷりと注ぐリビング・ダイニングが待っている。オープンキッチン、そしてパントリーやトイレ導線への視線を緩やかに遮る格子など、ここにもこだわりが随所に見てとれる。

この家には、HOBの思い、相良さんのノウハウがびっしり詰め込まれている。それでも、一番大事にしたのは、ここに住むであろう人たちのこと。

「テーマやコンセプトを抜きにしても、今回デザインをするにあたり、大前提として一定数誰にとっても親しみやすい家にしたいと思っていました。意匠性が際立ちすぎるのは違うと思っていて、プランニングや形状、マテリアルに至るまで、トータルで安心感のある優しい空間になったかなと思います」

この家は外遊びする人はもちろん、インドアな人であっても、住んでいるだけで自然の恩恵を享受できる家。この家を起点に、もっと多くの人に、ハッピーなアウトサイドを。

Sunny Track Houseキャンペーンページはこちらから
https://lifelabel.jp/magazines/762

Photo:Shinsaku Yasujima
Text:Keisuke Kimura
Edit:Jun Nakada

  • PROFILE

    相良祐基(ビームス チーフインテリアデザイナー)

    1981年生まれ。東京出身。桑沢デザイン研究所でインテリアデザインを学び、設計事務所に入社。ベルリンでの滞在を経て2010年、インテリアデザイナーとしてビームスへ。現在は自社の店舗デザインをはじめ、クライアントワークも多数手掛ける。

その道の達人たちに学ぶ、外遊びを全力で楽しむための秘訣。

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