FEATURE

2021.12.21

最初から完璧を求めない
今を“より良くする”という考え方で
ポジティブな“つづく”が始まる

地球に、人に、動物に優しいことを、と言われるとなんだか壮大で難しそうだし、建前だけじゃ続かない。
でも、ワクワクを諦めたくない私たちにだってほんの少し視点の切り替えをするだけでできる何かはきっとあるはず。
そんな“つづく”のリアルなヒントをBEAMSスタッフの日常から切り取る連載企画。
今回登場するのはBEAMSのショッピングバッグをコットン素材へと切り替えたプロジェクトのチームリーダー、原宗平。仕事を通して感じたことやそれをきっかけに少しずつ変化した日常をご紹介します。

About Work

 

「BEAMSとして今何をするべきか話し合い、”サステナビリティ”をカタチにしていこうと、社内の色々な部署から人が集められプロジェクトチームが結成されたのは2019年のこと。その中で、長く愛されてきたオレンジカラーのビニール製ショッピングバッグを見直そうという話が上がり、そのプロジェクトにも携わりました。最初はあまり想像できていなかったのですが、企画を進めるうち、環境に良いことをしようというのは思っているよりずっと複雑で、とても難しいことだということを痛感しました。例えば100%サステナブルな生地を使おうとしても、それが国外で作られていれば輸送に環境負荷がかかる。作るまでの過程も意識すると、表向きはサステナブルな取り組みでも、実際はそう謳っていないものの方が負荷がかかっていない場合もあるんです。何が正解なのか分からなくなりかけたとき、”100%サステナブルな方向に切り替えようとしなくていい。今より1%でも良い方向へ切り替わればいい。”という言葉を聞き、完璧でなくとも一歩ずつ前に進むことが大切なんだと心救われました。」

 

 

「2021年5月から販売されているこのショッピングバッグも今の段階では縫製の糸からすべてオーガニックにしているわけではありません。少しではありますが、プラスティックも使われています。もちろんこれから少しずつ改良を加えていけたらと思いますが、例えば2019年には年間39万枚用意していたビニール100%のものをオーガニックメインに変え、無料配布をやめたという一歩は大きい。そう考え、一歩ずつポジティブに良い選択をしていけることが大切なのではないかなと思います。また、分厚い生地ではないので、旅行のパッキング用などお買い物バッグ以外の用途にも使いやすいという声もいただいていて、様々なところで使ってもらえたら嬉しいなと思っています」

 

お馴染みとなっていたオレンジのショッピングバッグは元々、BEAMS10周年の時に始まったもの。その後廃棄時に分別しやすいようにハトメの素材を変えたり、植物由来の原料を一部使用した素材に切り替えたりと改良も重ねてきました。デザインに関しては大きく変わることはなかったのですが、30周年の際に地球を囲むラインが3本に。新しいコットンバッグもそのデザインを引き継いでいます。
2004年からサポートしているFUJI ROCK FESTIVALで毎年無料配布していた限定のビニールオレンジバッグを2019年で廃止。2021年には、様々な理由で廃棄予定になっていたTシャツをお付き合いのあるメーカーから集め、アーティストのイラストをプリントしてスタッフTシャツへとアップサイクルしました。

カバーオール/orslow シャツ/BEAMS パンツ/POLO RALPH LAUREN キャップ/NEW ERA シューズ/CONVERSE



About private

 

「僕はメンズカジュアルのバイヤーを長く続けてきたのですが、正直なところ、仕事でサステナビリティという言葉は飛び交っているものの、プロジェクトチームに招集されるまでそういったことに自分ごととして強く興味を持ったことはありませんでした。でも仕事で取り組みを進めるうち、プライベートでも少しずつ意識が変わってきたと感じています。例えば食品を買う時。これまでは無意識に賞味期限を確認し、できるだけ新しいものを選んでいたんです。でも、我が家は小さな子どもが2人いて牛乳や卵がなくなるスピードは早いから、今はむしろ賞味期限が近いものから取るように心がけています。その他のものも当日調理するなら当日までの期限で十分。むしろ割り引きされていてラッキーなんていうこともあります。そんな小さな行動ひとつだけで、廃棄されるものが減ると思うと嬉しいですよね」

ベスト/KAPTAIN SUNSHINE パーカ/LOS ANGELES APPAREL パンツ/SSZ キャップ/POTEN シューズ/CLARKS

 

 

「食品ロスのことだけでなく、ゴミを出すという行為についても気を遣うようになりました。子どもたちが食べるお菓子の箱はこれまで普通に捨てていたのですが、資源ゴミとして出せると分かってからはこうして箱を潰して段ボールなどと一緒に出しています。プロジェクトチームに携わる中で細かく分別した方が再生できるということを知り、家のゴミもなるべく分けるようになりました。また、子どもが生まれてから、おもちゃで頻繁に使用することが増えたのが電池。“電池を捨てる”という行為をなくしたいという気持ちから交換頻度が高い電池は殆ど充電式に替えました。仕事柄手にすることの多いノベルティや不要になった小物などもなるべく捨てずに再利用できる方法があれば活用しています。最近は小物入れや子ども用の学校バッグなどにリメイク。素人レベルですがミシンを使って自分だけの理想のサイズへと作り直すのは楽しいです。

 

 

 

これからの私の”つづく”

地元の田んぼを借りて、家庭菜園をしてみたいです。家族が食べられる分だけ育てて、収穫するのが理想。子どもが小学生なので、いっしょに取り組みたいですね。

 

 

Sohei’s recommendation list

WAKAMI

長年担当バイヤーとして携わっていたグアテマラのアクセサリーブランドです。商品自体に魅力を感じて仕入れ始めましたが、ブランドによるフェアトレードの取り組みを知り、僕自身が途上国とのビジネスをしっかりと考えるきっかけにもなりました。2017年に現地を訪問したときのことが記事になっているので是非たくさんの人に読んで欲しいです。https://www.beams.co.jp/special/wakami/

パタゴニアのリサイクルボックス

学生の時から今までずっと大ファンで、パーツ破損や破れといった修理サービスは以前よりよく利用していました。最近は使い古したものや修理不可の商品をリサイクルしてもらえるよう、捨てずに直営店へ持ち込むようにしています。https://cs.patagonia.jp/s/article/000002251

ECOVER(洗剤)、BEE’S WRAP(みつろうラップ)

自宅で普段使っている日用品たちです。物や品質に興味を持って使い始めたのがきっかけですが、今は品質に加えて、企業やブランドの取り組みや考え方に感銘を受けて使い続けています。

 

PROFILE

  • Sohei Hara 原宗平<ビームス>バイヤー / ビジネスプロデュース部 プロデューサー

    福岡県出身。2005年「ビームス ジャパン」にアルバイトスタッフとして入社。複数店舗で販売員を経験した後、2012年よりバイヤーに就任し、時計やアクセサリー、バッグなどの服飾雑貨の企画やバイイングを担当。21年よりBtoBを担当する現部署に配属。趣味はバイクとキャンプ。週末には子供たちを連れてキャンプを楽しんでいる。

Photo:Osami Watanabe Direction:Takako Shirasawa