FEATURE

2023.08.31

つづく、に新たな道具はいらない
ひと工夫のひらめき、
そして何より整理整頓から始まる

地球に、人に、動物に優しいことを、と言われるとなんだか壮大で難しそうだし、建前だけじゃ続かない。
でも、ワクワクを諦めたくない私たちにだってほんの少し視点の切り替えをするだけでできる何かはきっとあるはず。
そんな“つづく”のリアルなヒントをBEAMSスタッフの日常から切り取る連載企画。
今回登場するのは「ビームス ジャパン 京都」で働く細見佳代。
長くBEAMSのショップを支え、ファッションを愛し続けてきた彼女ならではの視点に迫ります。

 

入社してから30年近くショップで働いてきて一番変化を感じているのは、無駄な廃棄が減ったこと。例えば、洋服は配送されてくるときに汚れが付かないように一着ずつビニールにかけられ、小物はチャック付きのビニール袋に小分けされて段ボールに入っているのですが、昔は商品を出したらすぐに捨てていたこれらの包装材を近年はBEAMSのほとんどの店舗で、ストックして可能な限り何度も再利用しています。このようなことを続けていて気づいたのは、まずは何よりも整理整頓が第一だということ。せっかくビニールをとっておいても、ぐちゃぐちゃだと再利用はできない。でもきちんと整理して大切に扱えば長く使える。これは包装材も洋服も、すべてのモノに対して言えることだと感じています。

 

 

「実は各店舗のスタッフには、SNS運用、顧客さまの情報管理、などそれぞれ担当が振り分けられているのですが、その中に“つづく”に繋がる取り組みを促進する担当者もいて、色々な気づきや提案をしてくれます。そのおかげで、レシートのロール紙は赤いラインが出ても最後まで使い切る、不要となった紙も裏を使ってメモなどに再利用する、などは私たちの当たり前となり、なるべく出力せずにデジタルで見ることも意識するようになりました。」

 

 

 

このお店がオープンした時から週に1、2回スタッフ全員が交代で続けているのが開店前30分間の店外清掃。お店の周囲だけでなく、30分間で行って帰って来られる範囲内で、様々な場所のゴミ拾いをしています。始めたきっかけは、〈BEAMS JAPAN〉が日本の地域の魅力を発信するレーベルということもあり、〈BEAMS JAPAN〉を知ってもらうだけでなく、地域の方々の身近な存在になりたいという思いから。最初は戸惑いながら始めたこの活動も3年が経って、今や普段も道を歩いていると癖でゴミが落ちていないか探してしまうほどになりました(笑)。清掃中に地域の方にありがとうと声をかけていただくことがあるのですがやはり嬉しいですね。徐々に地域に溶け込んできた感覚も出てきました。この街が一層綺麗になることに微力でも参加できていると思えるのは気持ちいいことですし、これからも続けたいと考えています。

 

 

ゴミ拾いが日常化しているからか、マイボトルも私たちのスタンダード。同じビルに店舗を構える「ピルグリム サーフ+サプライ 京都」に、通りがかりの人でも使える給水スポットがあるのでそこで水を足すこともあります。

細見
トップス/ LIVIO DE SIMONE
パンツ/ INSCRIRE
シューズ/ CONVERSE

 

 

 

個人的に私が愛用しているのが〈BEAMS Planets(ビームス プラネッツ)〉のディレクターである佐藤幸子が手掛け、重要無形文化財である久留米絣を取り入れた〈CATHRI(カスリ)〉というブランド。2年ほど前に京都「新風館」でポップアップをした時に呼んでいただき、そのクラフト感とほどよいリラックス感に一瞬で虜になりました。それ以来、気軽に買えるほどお手頃ではないのですが少しずつ買い足していて、どれも私の宝物です。この服の素晴らしいところは、繊維屑や生地片などからアップサイクルされたポリエステル繊維『ECOPET®』が天然な素材と組み合わされているアイテムがあること。デザインや着心地に惹かれた長く着たい服が環境にも良いものだった、というサプライズほど嬉しいものはありませんよね。

 

トップス/ Pilgrim Surf+Supply
パンツ/ CATHRI
ヘッドアクセ/ CATHRI×La Maison de Lyllis

 

アウター/ CATHRI
パンツ/ B:MING by BEAMS
トップス/ Pilgrim Surf+Supply

 

 

「シャツは丈を短めに切って自分でリメイクし今らしいシルエットに。ワンピースは買って間もないときに油を飛ばしてしまい、洗剤につけたら色が抜けて泣く泣くゴミ箱に捨てかけたのですが、思い切って京都の黒染め(詳しくはこちら)に出したら自分好みになり、更にお気に入りの一着となりました。着なくなった服は次の人へバトンタッチすることが多いのですが、自分なりにカスタマイズして着続ける工夫をするのも楽しいです」

 

 

「以前愛用していた服や量り売りで売られていたハギレ、使わなくなったバッグなど、柄や色を気に入っている布を無駄に捨ててしまうのがもったいなくて…何か作れないかな、いつか再び日の目を浴びられたら、と思って置いておくことが多いです。手先は器用な方ではないのですが、ちょこちょこと作るのは好きなので、自己流ではありますが色々作ってみています。最近は、時間をみつけてはこうして自分好みの大きさのポーチをいくつか。ポーチって、自分の入れたいものにぴったりの大きさのサイズを見つけるのがなかなか難しいので、とても便利なんです。愛用していたスカートやバッグ、柄に一目惚れしたハギレ、タペストリーを作ったときの布の余りなどもポーチに作り替えてみました。

 

 

無駄に捨てる、といえばずっと気になっていたのがラップ。私は一度にお米を炊いてから小分けにして冷凍しているのですが、その時に包んで一度きりで捨ててしまうラップに罪悪感があったんです。でも、みつろうラップは冷凍に不向き。そんな時に思いついたのは、タッパーに入れて、しゃもじで溝を作り冷凍するだけという方法。とってもシンプルで道具を用意する必要がなく、とってもシンプルですがちょっとした工夫ひとつでラップを使う必要がなくなりました」

 

 

使い捨てのカトラリーもなるべく使いたくないので、いつもバッグにマイ箸とスプーン&フォークを入れています。

 

これからの私の”つづく”

インクルーシブな性や人間のあり方の理解を促進するプライドの取り組みや再生栽培が気になっています。また、「ビームス工房」が行っているような眠っている服のリメイクを自宅でももっと積極的にしていきたいなと考えています。

 

Hosomi ‘s recommendation list

■Instagramでアップサイクルの情報収集

世界の現状を知りそれに対して活動している団体がある事を知るだけでも、我々が何気なく当然のようにしていた事が地球が悲鳴を上げる原因になっていたと知る事ができます。こういう記事を見るだけでもプラスチック削減やレジ袋など今まで以上に意識が高くなり物の大切さを感じるようになりました。

 

@fabula_inc(https://www.instagram.com/fabula_inc/

@upcycler(https://www.instagram.com/upcycler/

 

■GUCCI

ジェンダーの平等を目指す取り組みを積極的に行っていて、LINEでも情報発信していることを知り、友だち登録しています。

関連サイト:https://equilibrium.gucci.com/ja/zine/

 

■Cul de Sac – JAPON

公式サイト : https://culdesac.jp

〈BEAMS JAPAN〉でも取り扱っている青森のヒバを使用した天然芳香剤。自然のものを使うことは環境保全にも繋がると思うので、我が家でも愛用しています。

PROFILE

  • Kayo Hosomi 細見 佳代ビームス ジャパン 京都 ショップスタッフ

    1995年入社。〈Ray BEAMS〉、〈B:MING by BEAMS〉、〈Demi-Luxe BEAMS〉のショップスタッフを経て現在「ビームス ジャパン 京都」に配属。一点一点のワードローブに思い入れが深く、20年前のアイテムも現役でスタイリングを楽しんでいます。趣味は旅。愛車で温泉巡りから海外まで1人でもアグレッシブに行動します!ビームス公式サイトのスタイリングページでは、毎月29日に「わたしのつづく服。」にちなんだスタイリングを紹介しています。

Photo:Kenta Yoshizawa Direction:Takako Shirasawa