FEATURE

「関わる」は行動のひとつ
様々な人や活動と繋がることで
気づきと変化が生まれる
地球に、人に、動物に優しいことを、と言われるとなんだか壮大で難しそうだし、建前だけじゃ続かない。
でも、ワクワクを諦めたくない私たちにだってほんの少し視点の切り替えをするだけでできる何かはきっとあるはず。
そんな“つづく”のリアルなヒントをビームススタッフの日常から切り取る連載企画。
今回登場するのは「ビームス 広島」で働く、髙田康博。
アップサイクル活動を行う妻を持ち、自身も地域密着型イベントの責任者を務める彼のなにげない毎日を紐解きます。
30周年記念で実施した『ビームス ヒロシマ ウラ マルシェ』では、中国新聞社主催のトークイベントや広島FMの公開収録、広島企業による来場者の3Dフィギュア製作サービスなど、店内外に様々なコンテンツを用意。お土産にはお好み焼きのミニサイズへらや広島名物の特製がんすなどを配布し、広島色一色のイベントとなった。
「ビームス 広島」の裏口にある屋外スペースを何か活用できないかと、当時ショップマネージャーだった江口が発案し、2年ほど前にスタートさせたのが『ビームス ヒロシマ ウラ マルシェ』。広島のコミュニティの中心になることを目指し、地域のお店や企業に出店をお願いしています。季節にもよるのですが毎週のように週末開催することもあり、表ほど人通りは多くないのにも関わらず地域の方に楽しみにしていただけるようになりました。先日は「ビームス 広島」の30周年を記念していつもより規模を拡大し、出店者さま、お客さま共に喜びの声を聞くことができたのは責任者として嬉しかったですね。個人的には、友人や知人、アパレルで働いていたら接点が生まれにくそうな方など誰とでも一緒に何かできる機会があるということにやりがいを感じますし、繋がりが広く強くなる感覚があります。また、このお店はビームスの取扱いレーベルが多く広いので働いている人数も多いのですが、ウラマルシェのおかげでスタッフ同士の繋がりが一層強くなった実感もあります。そして、全国にあるビームスの中で初めてこのようなことを行なったということもあり、ウラマルシェをモデルケースに様々な店舗がマルシェで地域と繋がり始めているという報告を耳にして、この活動を続ける意義も感じています」
店内のストックルームには再利用の工夫が。配送の際、に服一枚一枚にかけられているビニールは長短に分別。ハンガーも、ダンボールとビームスのリボンを使って作った専用箱にかけて。
トップス/ C.E
ジャケット/ DAIWA PIER39
パンツ/ DAIWA PIER39
帽子/ NEW ERA × BEAMS
靴/ NEW BALANCE
集まった資材は家から1分の場所にあるアトリエへ。奥さまは家事や子育ての合間にここでアップサイクルプロダクトの製作活動を行っている。「夫が、私の作るものに興味を持ってくれてアドバイスしてくれたり、アップサイクルフードを美味しそうに食べてくれる時間はとっても嬉しいひとときです」と奥さま。
<左上>白砂糖不使用のグラノーラバー。東広島市でクラフトビールを手掛ける会社から、地元の米や酒粕が入ったビールの搾り粕を譲り受け、そこにいちじくなどのドライフルーツやナッツを加えている。プレーン、酒粕、緑茶、チョコレートなど味も豊富。
<左下>廃車になった車のシートベルトやエアバッグは丈夫な素材であることを活かしてバッグに。
<右>新品でも設置から10年経過したものは消防法で交換することが定められ、廃棄されてしまう消防ホースをコインケースなどへアップサイクル。地域によって柄が違うのも面白い。
この日は地元である東広島で地域に根差した活動を行う「にじいろ商店」のマルシェに出店。髙田さんも様子を覗きに。アップサイクルして作られたものはこうして主に地域のイベントの出店などで販売している。
「妻は元々身体に良いことに興味があり、仕事の合間にローフードの勉強を進めながらアップサイクル製品のハンドメイド作家として活動していたお姉さんの手伝いをしていたんです。そして2年前にBEAMSを退職した際、もう1人の仲間と3人でアップサイクル協議会『アオイチキュウヘ』を誕生させ、本格的に活動を始めました。私は試作品を見て自分なりの意見を言ってみたり、休みの日に販売のある日は少し手伝ったりする程度なのですが、一生懸命活動をしている妻をそばで見ているので、気づけば様々な場で刺激を受けているなと思います。職場でのウラマルシェもそうですが、サポーターながらこうして地域や環境保全のため少しでも役に立てることがあればこれからも続けていきたいですね」
トップス/ SSZ
インナー/ Setinn
パンツ/ BEAMS
帽子/ Sun・Curry(自身が頻繁に通う老舗カレー屋さんのキャップを地元の後輩達と作成。オフィシャルです。)
「現在住んでいる場所から1時間圏内の所に、僕の実家があり、元々兼業農家で米や野菜を作っていて。親も高齢になり、僕も当時広島にいなかったので、田んぼは数年前に辞めちゃったんですが、畑はまだ残しているんです。その畑を活かして、少量ですけど自分たちで作った物を自分たちで食べるなんていう生活をいつかしてみたいなと想像しています」
「妻がアップサイクル活動を行っていることで少しずつ我が家にも変化が起きています。例えば4、5年前に始めたコンポスト。燃えるゴミの袋が格段に軽くなって、これまでいかにたくさん捨てていたのかを実感しています。また、生ゴミが簡単に消えていくサマが面白く、できた堆肥で野菜も作れる。環境だけでなく子どもたちの教育にも良いので始めて良かったと思うことのひとつですね。実は私たちの住む地域はあまり細かいゴミの分別がないのですが、資源の回収をしている近くのスーパーに持ち込むようにしたり、月に一度地元のゴミ拾い活動に参加したりと、家族みんなが自然と意識するようになっています。また小5と小1の子どもたちが偶然にも妻の姉夫婦の子どもたち2人の年齢がとても近いので、普通ならあまり使わないまま手放さなければいけないおもちゃや服を赤ちゃんの頃から4人で順番に回して使えているのも“つづく”に繋がる活動のひとつかもしれません。でもこれらの話はすべて妻がきっかけ。毎日のことだけでなく環境に関する映画やマルシェに誘うなど、彼女が私を巻き込もうとしてくれるおかげで少しずつ自分の中で変化が起きている気がしています。また、公私共に様々な人や活動と繋がることで地元愛が深くなり、広島、特に家のある東広島のものを見ると手に取りたくなる。これが自然と地産地消に繋がるのかもしれませんね」
トップス/ ONEITA
パンツ/ NEEDLES
眼鏡/ MOSCOT
靴/ BIRKENSTOCK × BEAMS
「ウラマルシェもアップサイクルも、僕はそばにいるというだけで何もしていないんです」と語る髙田さん。しかし、そのライフスタイルを半日覗いただけで、“つづく”のためのアクションが当たり前に生活に根付いていることがよく分かる。毎日使っているポーチは廃棄されるエアバッグから奥さまがアップサイクルしたもの。「家族の歯ブラシはすべて環境に配慮した竹製。これは〈Dracarys〉と〈WannaBee〉というブランド。竹製歯ブラシを初めて使った時は、少し違和感がありましたが今は私も子どもたちもこれがデフォルト。日々の当たり前を崩すことって、ちょっと面倒に感じてしまうと思うんですけど、やってみたらそんなに面倒なことではなく、逆にちょっと地球に良いことしてるんだなっていう気持ちになれて、地球にも自分にもプラスになっているなと嬉しくなるんです」ペットボトルを買うのをやめ、マイボトルを持ち歩くのもいつの間にか日課となっていたそう。
これからの私の”つづく”
「妻には定期的に話はしているんですが、アップサイクルのモノ・コトを体験出来るハコを作りたいと思っています。アップサイクルのモノを販売したり、そこでワークショップやマルシェを開いたり。アップサイクルなアート作品の個展も面白そうだなと。アップサイクルを通して、年齢・性別関係なく、色んなヒトが楽しめるハコ。アップサイクル初心者の僕が言うには大きなコトかもしれませんが、いつか実現させたいですね」
Takata ‘s recommendation list
キエーロ
「最初は、小さなBAG型のコンポストを使っていましたが、2年ほど前に妻がアップサイクルの活動を通じて知り合った方から手作りのキエーロを頂いたんです。量は入るし、見た目が素敵で安定感もある。屋外に置いていても心配ないですし、生ごみを混ぜる時も微動だにしません。これからも我が家の生ごみを堆肥として蘇らせ続けていって欲しいです」
『キス・ザ・グラウンド: 大地が救う地球の未来』
「数年前、妻に絶対に見た方が良い!と薦められて観たのが、このドキュメンタリー作品。土をテーマとした内容で、問題点も分かりやすく、今から我々が行うべき行動、今すぐに行える行動までもしっかり伝えてくれています。内容はもちろんのこと、映像が綺麗で、時間も約90分と、環境問題にそこまで興味を持っていない人にも観やすい作品です。激しくお薦めです!」
谷口たかひささん
「世界中で活躍されている環境活動家の方です。この方を知ったのも妻や義理の姉がきっかけ。地域の人にもっと環境の事を知ってもらいたいという想いから妻たちがアクションを起こし、東広島に谷口たかひささんをお呼びして講演会を開きました。そこに僕や子供たちも参加して。世界のリアルを見てきた方だからこその心に響く内容で、大人だけでなく子供たちも前のめりで講演会を聞いていました」
PROFILE
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Yasuhiro Takata 髙田康博ビームス 広島 ショップマネージャー
1982年広島県生まれ。2006年、ビームス広島にアルバイトスタッフとして入社。その数年後、首都圏へ転勤。「ピルグリム サーフ+サプライ」在籍時はヴィジュアルマーチャンダイザーも担当。2020年に京都へ転勤し、「ピルグリム サーフ+サプライ 京都」のオープニングに携わった翌年、再びビームス広島へ。多趣味だが、その中でも長く続いているのがキャンプ。自分一人だけでなく、家族や友人と一緒に楽しめるのが長く続いている理由。最近では家族でクレーンゲームにもハマっており、散財の日々。ちいかわ推し。
INFORMATION
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『ウラ マルシェ スペシャル』開催決定!
2024年8月24日(土)に広島・クラブクアトロにて実施する『BE FES!! 2024 HIROSHIMA』の公演を記念し、「ビームス 広島」の裏通りで行われている名物企画『ウラ マルシェ』のエリアが広島PARCOのイベントスペースにも拡大された『ウラ マルシェ スペシャル』の開催が決定。
今年で30周年を迎える「広島PARCO」と「ビームス 広島」。 このメモリアルなタイミングに、地域の特性を活かした飲食や物販を楽しむことが出来る出店が多数登場します。
開催日時:2024.8.24(日)11:00-18:00(予定)
開催場所:「ビームス 広島」のウラ / 広島PARCO前