FEATURE

人も自然も
大切なものを守りたいから
良い連鎖を無理なく続けていく
地球に、人に、動物に優しいことを、と言われるとなんだか壮大で難しそうだし、建前だけじゃ続かない。
でも、ワクワクを諦めたくない私たちにだってほんの少し視点の切り替えをするだけでできる何かはきっとあるはず。
そんな“つづく”のリアルなヒントをBEAMSスタッフの日常から切り取る連載企画。
今回登場するのは「Pilgrim Surf+Supply in Residence at BEAMS TSUJIDO」で働く、富樫磨大。
海と山、そしてそのカルチャー&コミュニティをこよなく愛する彼の、日常から垣間見える「つづく」を探ります。
「両親の影響で16歳からサーフィンを始め、毎年夏はサーフィン、冬は雪山でスノーボードをしています。横乗りをしながら旅をするのが好きで、「Pilgrim Surf+Supply in Residence at BEAMS TSUJIDO」で働きながらも合間に山登りをしたり、たまにライフガードのバイトもしたりと、自然はいつもとても身近な存在です。そんな毎日を続けてきて、気になっているのは海水温や雪質の大きな変化。地球の温暖化は直接肌で感じていますね。環境問題というとあまりにも大きな話でなんだか気が滅入ってしまうけれど、何かしなければ何も始まらない。そう思うから、小さくても自分のできることを自然体で続けようと思っています。分かりやすいことで言えば、例えばワンハンドビーチクリーン。サーフィンをする仲間は皆、波乗りをした後、海からあがって帰る動線上にゴミを見つけたら拾うようにしていて、片手にサーフボード、空いたもう片手で持てるだけゴミ拾いをするのが日課です。また、僕個人のことでは、服や家具、その他使えるものは基本的にはまず捨てずに済む方法から考え、買うときはなるべくユーズド品や永く使えるものを選ぶ。あげたり交換したりして繋いでいくことは楽しいし、人にも環境にも優しいと感じています。また、自転車やスケボーで移動したり、余裕のあるときは夜ご飯を多めに作って翌日の弁当に持っていくことや、朝ハンドドリップで淹れるコーヒーを日中の分も淹れていくことを意識したり…大きなことではないかもしれないけれど、自分にとっても環境や周りの人にとっても心地良い日常を大切にしています」
日常で使うものはなるべく環境に優しいものを選びたいのでサーフィンのワックスは天然のものが基本。余裕のある時はこんな風に自分で手づくりすることも。これはミツロウをベースにし、ココナッツオイルを混ぜて作ったもの。
トップス/ROAMER WETSUITS
パンツ/ BIRDWELL
「鵠沼伏見稲荷神社には境内に『鵠沼和貴水』と呼ばれる湧き水があるのですが、時間を見つけてはそこに行って水を汲んで使わせてもらっています。車にはいつも空のボトルやタンクを積んでいるので、山や温泉など湧き水が出ているところに行ったときには必ず汲んで帰ります。水は大切な資源。大切にしていきたいもののひとつですね」
トップス/THE DAY
パンツ/CAL O LINE (Pilgrim Surf+Supply Exclusive)
シューズ/LUNA SANDALS
湧水で淹れたコーヒーを片手に波のチェックを。飲み水やコーヒー、料理だけでなく、波乗りからあがった後に海水を軽く流すシャワー代わりとしても活用しています。
トップス/Pilgrim Surf+Supply
パンツ/ACE GENERAL STORE (uesd)
シューズ/UGG (Pilgrim Surf+Supply Exclusive)
「Shop my crew」オーナーの横田さんと富樫の波乗り仲間、リクさんと談笑。取材中にも何人もの人が挨拶や情報を求めてショップへ訪れ、新たな情報交換が。ショップの看板犬ロクもお出迎え。
「サーフィンを始めたばかりの10代に辻堂のサーフショップ、「Shop my crew」とオーナーの横田さんに出会ってから、サーフィンと旅の楽しさ、自然体でピースなマインドを教えてもらっています。日々たくさんの人が集い、様々な情報が交差するこの場所で、これまでサーフィンだけでなく多くの学びと刺激を得てきました。おかげでこのエリアが大好きになり、20歳には辻堂に引っ越したのですが、仕事場も自転車で数分で行ける場所にあり、波乗りもここから歩いて行けるので、今や僕にとってはなくてはならない、チルでホットなホームスポットとなっています」(富樫)
「このショップは20年以上やっているのですが、今も中学生からたい70代の方まで、職業も様々な人たちが集まる場所。波乗りをしていなくても、ただ海のカルチャーが好きという人もいて、面白いコミュニティができていると思います。磨大も10代の学生の頃から知っているので、今やビームスで働いてきちんと生活していて、こんな取材も受けるようになったと思うとなんだか感慨深いですね。辻堂はコミュニティの派閥もないしサーフショップも横並びでみんなが行き来しているのがいいところ。ゆるく寛容でいたいなと思いますが、ショップを出入りする子にはルールやマナーは伝えています。波乗りする姿って極端に言えば生き方が出ると思うんです。だから自分も相手も心地よく仲良くいるためにはどういればいいのか考えることは大切だと思いますね。ここ最近みんながよく言っているのは砂浜が小さくなったということ。温暖化による水位の上昇ももちろんあるだろうし、色々な原因があるんだと思うけれど、やはりどこか危機感は感じています」(Shop my crewオーナー横田さん)
「Shop my crew」
藤沢市辻堂西海岸3-1-2
10:00~19:00
水曜定休
Instagram: @shopmycrew
「以前は色々な夏野菜を作っていたんですが、夏野菜ってすぐ成長するんですよね。ここから車で30分くらいかかるところに畑があるので、毎日は行けないし、行けるときに行っていると捨てなきゃいけなくなるほどどっさり採れてしまう。勿体無いので夏野菜はやめて今は玉ねぎだけになりました。これが一番手がかからなくて無理なく育てられるんです。収穫した玉ねぎは家の料理に入れたり、こうやって海の仲間にあげたり…。家庭用だけでなく、イタリアンのお店のピザになったり、カレーの具になったりと色々なところで活用してもらっています」(オーナー横田さん)
「最近、「Pilgrim Surf+Supply in Residence at BEAMS TSUJIDO」働いていたバイトの子が先日、古着屋を自分でやりたいということで辞めたんです。そのときにスタッフそれぞれに自分で選んだヴィンテージのTシャツをプレゼントしてくれて…。僕には雪山のイメージでこれにしてくれたらしいです。デニムは10年前ほど前、学生時代に先輩からもらったもの。そしてサンダルは今日来てくれた友人リクがやっているブランドのものです。どれももらった時すごく嬉しかったので、これからも大切にしていきたいですね」
トップス/ Vintage Tee
パンツ/ Levi’s (used)
シューズ/THE VANZAI
これからの私の”つづく”
今後は畑を間借りして、販売目的でなく自分たちのために野菜を作ってみたいと考えています。友だちが気軽に参加でき、できた野菜をみんなでシェアしたり、別のものと交換し合ったりできたらいいですね。
Togashi’s recommendation list
ACE GENERAL STORE
Instagram: @ace_general_store
江ノ島のヴィンテージクロージングストア。
古着だけでなく、ミュージック、アート、サーフなど様々なカルチャーが入り混じるショップ。
人にも地球にも優しいオーナーの陽太くんとここに集まる人々はみんな自然体でクールでクリエイティブで、楽しい発見があります。
RIDE SURF+SPORT
Instagram: @ridesurfandsport
八王子にあるサーフ・スノー・ヨガの道具を扱うショップ。
オーナーの柴田さんとライダーの正太郎くんにはサーフィンやスノーボードで遊んでもらいつつ、「Pilgrim Surf+Supply」ではサーフムービーの上映会を開催したり。
板のことやオーガニックワックスのこと、海や山のことなど色々学ばせてもらっています。
Pilgrim Surf+Supply in Residence at BEAMS TSUJIDO 山本 ちひろさん
Instagram: @pippi1129
人と自然に優しく、思いやりのあるちひろさんと山本ファミリーは近所に住んでいるのですが、先日体調を崩した時は家のベランダからスイカを届けてくれました。
山本ファミリーには、自分がPilgrimのチームに加わる前から今もたくさんお世話になってます。
(山本ちひろさんのつづく服はこちら)
Photo:Shota Kikuchi
Direction:Takako Shirasawa
PROFILE
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Mao Togashi 富樫磨大Pilgrim Surf+Supply staff
東京都福生市出身。16歳のときにサーフィンと出会い20歳で辻堂へ。そこからサーフィンに明け暮れる日々を過ごしスノーボードもしながら、海と山を行き来する生活に。2023年、「Pilgrim Surf+Supply in Residence at BEAMS TSUJIDO」が Pilgrim Surf+Supply のレジデンスショップが辻堂にオープンするタイミングでビームスに入社。サーフィンをしてみたい、もっと乗りたい人へサーフセッション&スクールを始めつつ、変わらず波と雪を探す旅を続けています。