ISSUE

Open Collar Shirt

GUEST

Hirofumi Yamashita

from MOJITO

2018.04.17

PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS

VOL.02

<BEAMS PLUS>のワードローブになくてはならない
普遍的なアイテムを作ってきた識者たちの、
見解やエピソードから紐解く知られざる魅力。
それは過去の名品を未来のスタンダードへと
紡ぐために必要なストーリーであり、
<BEAMS PLUS>が大切にしたい新しいフィロソフィー。

vol.02

山下裕文(モヒート・デザイナー)1968年熊本県生まれ。服飾専門学校を卒業後、スタイリストアシスタントを経て、アメリカンカジュアルの魅力を日本に伝えた今はなきセレクトショップ「プロペラ」でプレスバイヤーを務める。2005年に独立、英国の老舗ブランドからストリート、アウトドアブランドなどのコンサルティング業務に携わり、2010年に自身のブランド<MOJITO(モヒート)>をスタート。ブランド名はヘミングウェイが愛したお酒の名前に由来。稀代の文豪へのオマージュであり、男たちのための「道具としての服」としてのコレクションを展開する。
http://mojito.tokyo/

オープンカラーシャツには
かしこまらなくて良いもの、
つまり
タイドアップのアンチテーゼという存在意義があると思います

「シャツの起源は、着丈の長い男性用の下着であったため、パンツにタックインせずに裾を出すというのは、とても恥ずかしいことでした。その中で開襟シャツは、外に出してくることを前提に作られています。そのため、身幅が裾に向かって真っ直ぐであること、そしてネクタイを結ばないので台襟がないこと。そして前たてがないことが基本的な特徴として挙げられます。これは、例えばデニムのカバーオールが流行だったのが、いつしかGジャンに変わっていったように、オープンカラーシャツは、ボタンダウンシャツを着てタイドアップすることへの反動から生まれた、というのが持論です」

「<MOJITO>にとってなくてはならないオープンカラーシャツは、“アブサンシャツ”といいます。これは禁酒された国もあるくらい中毒性の高いアブサンという酒名から拝借し、一度袖を通したら虜になるような着心地の高いシャツという意を込めました。人生の晩年の生活拠点をキューバに移したアーネスト・ヘミングウェイは、僕が調べる限り、そのほとんどを裸の上にオープンカラーシャツで過ごしていました。ノーベル文学賞を受賞し、結婚と離婚を4回も繰り返し、地位も名誉もお金も女も、欲しいものはすべて手に入れ―――“パパ・ヘミングウェイ”との愛称をもつほど、アメリカの理想的な男性像の象徴になった彼は、もう自分をきっちり見せたいと思う必要がなくなったんじゃないか、と思うのです。そんな観点からも、オープンカラーシャツにはかしこまらなくて良いもの、つまりタイドアップのアンチテーゼという存在意義があると思います」

「彼はワイルドでマッチョなイメージとは裏腹に、洋服に対してとても繊細でした。とくにサイズへのこだわりが強く、おそらく所有していたシャツの多くはプチ・ビスポークだったと思います。一般的なオープンカラーシャツよりも着丈が長く、第一ボタンの開きが深い。日本人にとっては少し癖がありますが、<MOJITO>のアブサンシャツはそのディテールを踏襲しています。そこにウエストに絞りをいれたのが“モヒート フィット”の特徴です」

「ブランドを始めた2010年は、いわゆる端正なボタンダウンシャツが全盛で、まだ知名度も何もないブランドのましてやオープンカラーシャツを生産してくれる工場はありませんでした。「そんな開襟シャツを作ったところで、まとまった数量の発注はできないだろ?」って感じでろくに話も聞いてもらえませんでした。そんな中で、<INDIVIDUALIZED SHIRT>の日本総代理店であるメイデンカンパニーさんだけがOKしてくれて、結果的にアメリカ製でスタートすることができました。今でも感謝してます。現在は、春夏は薄く柔らかな素材を“フワッと”縫えるところ、対して秋冬は厚手で硬めの素材を“キッチリ”縫える2つの国内工場を使い分けています。見比べるとアメリカ製の頃は、ドレスシャツメーカーなので、剣ボロの裏の始末がとても丁寧でした。一方で日本製は、袖まくりをしやすいようにカフスの端から真ん中まで、内に芯を貼っています。お互いに良さがあり、得意な部分があります。」

「今回、ビームス プラス 原宿で開催していただくオーダー会は、“ユニフォーム”をキーワードに4つのカテゴリーを製作しています。例えば“traditional(トラディショナル)”は、晩年のヘミングウェイが愛用していたトラディショナルなタッターソールチェックを用い、“hunting(ハンティング)”では異素材を組み合わせて、彼が好きだったハンティングジャケットを表現しました。“hobby(ホビー)”は狩猟の際に常宿にしていたサンバレーロッジで着ていたウールのチェックをイメージしています」

「オープンカラーシャツとは、襟の形状だけを示しているだけ。“アブサンシャツ” は、もちろんアロハシャツでもなければ、サファリシャツでもありません。単なるヴィンテージの再現でもありません。約20年間、僕が憧れ続けたヘミングウェイについて、感じたことや思ったこと、妄想をかたちにしたものなのです」

EVENT info.

小説家アーネスト・ミラー・ヘミングウェイのライフスタイルや作品をデザインソースとしているブランド<MOJITO>の代表アイテムである『アブサンシャツ』にフォーカスしたオーダー会を「ビームス プラス 原宿」で開催します。

かつて悪魔の酒として多くの作家や文化人を虜にした本物のアブサンのように“袖を通した人を虜にする着心地”を追求した『アブサンシャツ』。会期中は、ヘミングウェイに纏わる“ユニフォーム”をキーワードに、ミリタリー、ハンティング、ホビー、トラディショナルの4カテゴリーを連想させるモデルを本イベントのために製作しました。カラーは各2色展開で、4サイズからお選びいただけ、特別にオーダーすることができます。
<MOJITO>が掲げる男たちのための“道具としての服”を、この機会にご堪能ください。

詳しくはこちら
BACK NUMBER
JPEN
PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS

volume.02