ISSUE

Western Shirt

GUEST

Yutaka Goto

from REMI RELIEF

2018.07.27

PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS

VOL.05

<BEAMS PLUS>のワードローブになくてはならない
普遍的なアイテムを作ってきた識者たちの、
見解やエピソードから紐解く知られざる魅力。
それは過去の名品を未来のスタンダードへと
紡ぐために必要なストーリーであり、
<BEAMS PLUS>が大切にしたい新しいフィロソフィー。

vol.05

後藤 豊(レミ レリーフ・デザイナー)1970年、愛知県生まれ。リーバイ・ストラウス ジャパンや量販アパレルメーカーでの勤務を経て、2008年に<REMI RELIEF(レミ レリーフ)>をスタート。世界に誇るデニムの名産地である岡山県倉敷市の児島地区に自社工場を構え、特にヴィンテージと見紛うほどのリアリティに満ちたエイジング加工で国内外から高い評価を獲得。一方、古着の焼き直しに終始しないモダンなシルエットも人気の理由。そのものつくりのクオリティが認められ、有名ブランドやセレクトショップのディレクターも務めるなど、活動の場は多岐にわたる。
http://www.remirelief.jp

いわば 魅せる ために生まれたアイテム
その存在意義は昔も今も、そして行く先も

カウボーイへの憧れが詰まった
西部の一員になるコスチュームだった

「実はウエスタンシャツのルーツは、これまで多く語られておらず、まとめられた資料や確たる情報もほとんどありません。ですので、今からお話することは僕が史実を調べたうえでの仮説、あくまで個人の見解です。まずジーンズやGジャン、カバーオールといったデニムクローズ、またミリタリーウェアなどは、そもそも機能ありきで開発された道具的なプロダクトです。対してウエスタンシャツは、何らかの機能性を求めて生まれたものではない、唯一とも言えるアメリカンカジュアルウェアだと考えています」

「誕生のキッカケは、1929年のウォール街大暴落に端を発する世界恐慌。アメリカでは牛肉の価格が下落し、西部の牧場は経営難に陥った。これを立て直そうと、牧場主たちはニューヨークなど東部の富裕層をターゲットに、ヨーロッパ旅行に代わる新たなレジャーとしてデュードランチと銘打った観光牧場を営業します。現代でいうグランピングのようなものです。イギリスの騎士道、日本の武士道のように、アメリカではカウボーイこそが男の生きる道の象徴であり、さらに当時の西部劇ブームも手伝って、この策は大成功を収めました」

「それまでカウボーイが実際に着用していたのは、厚手のコットンツイルやフランネル生地のチェックシャツでした。しかし観光客の気分を高め、よりいっそう西部のムードを味わえるようにと、ウエスタンシャツが考案されたのです。アメリカの南西部は、開拓時代からスペイン文化が色濃い地域。そこでスペイン的な造形をベースに、ネイティブアメリカンの民族衣装を象徴するフリンジを取り入れるなどデザインが肉付けされた。そう、コスチュームとして誇張された一枚を提案したわけです。そしてカウボーイへの憧れを胸に都会から訪れた人々は、ジーンズを穿き、ウエスタンブーツに足を入れ、頭にはテンガロンハット、そしてウエスタンシャツに袖を通して余暇を楽しむ。いわば、偶像であるカウボーイになりきろうと、仕立て上げられた虚像に身を包んだ “ コスプレ ” だったのです」

男らしさと機能の進化を経て
都市のアイテムに、そして反抗の象徴に

「以降、カウボーイの本当の仕事着になり、またデュードランチの衣装として着られるようになりましたが、まだまだ一般的ではありませんでした。しかし'40年代の中頃から、<Lee>をはじめとするワークウェアブランドが市場拡大を狙って、労働着を普段着としても提案しようと動き出します。そうしたなか'46年に設立されたのが、現在まで続く<Rockmount Ranch Wear>です。創業者のジャック・ウェイルは、従来の仕様やブカブカのサイズを見直し、ウエスタンシャツに革命をもたらしました。ショルダーヨークの生地を2枚重ねにするのと併せ、ウエストをシェイプして細身にすることで、肩や胸板の厚さを強調して男らしい体格を演出した。ファッションとして格好良く映るよう工夫を施したわけです」

「それでいて、2重仕立てのショルダーヨークは、荷物を担ぐ、肩にロープを掛けるなどダメージを受けやすい部位でもあるため、補強を兼ねていました。また “ ソートゥース ” と呼ばれるノコギリ型のポケットフラップは、収納したものの落下を防ぎながらもタバコやペンをスムーズに取り出せる実用的なデザインでもある。スナップボタンも、グローブを装着したまま着脱しやすく、かつ取れにくいうえ、暴れる牛のツノに引っ掛けられても瞬時に外せる機能的なディテールです。これらの仕様は多くのブランドによって模倣されますが、そうした基本形を生み出し、広く定着させたことから、ジャック・ウェイルは “ ウエスタンシャツの父 ” とも呼ばれています。そして'47年には、ファッション性を意識したウエスタンウェアに特化した<Wrangler>がデビューし、その後は<Levi's><Lee>と並ぶ3大デニムブランドへと成長しました」

「大恐慌による国家のピンチから第二次大戦を経て、戦後の好景気に湧いたアメリカ。新しい時代が幕を開け、強く裕福な国へと移り変わる'50年代に、ウエスタンシャツも花開き、街で着るカジュアルウェアになっていきました。ただ当時は、そうしたボディラインを強調するタイトフィットの洋服は、大人からけしからぬと捉えられていた。しかしジェームズ・ディーンやエルヴィス・プレスリーといった反骨精神のシンボルとなっていたスターが着用したことで、若者たちは反抗の標しとしてそれをまとったのです。さらにカウンターカルチャーの時代に突入した'60~'70年代、混沌とするアメリカへの疑問を抱き、愛と平和と自由を求めたヒッピーへと引き継がれていきました」

ほかのアメリカンカジュアルにはない
そこはかとない色気こそが魅力

「<REMI RELIEF>では2008年のデビューコレクションからウエスタンシャツを手掛け、以降、途切れることなく作り続けています。<BEAMS PLUS>での取り扱いも、そのときから。どこか男の色気を感じさせる佇まいが好きで、普段から僕のワードローブのひとつだったので、最初のラインナップに入れました。僕は多感な20代の頃に1990年代のヴィンテージブームを体験し、ファッションを学んだ世代。その影響から実際に勤務するまでに至るなど、<Levi's>には特に思い入れが強い。ですから<REMI RELIEF>のウエスタンシャツも<Levi's>からのインスパイアが色濃く、歴代の優れたディテールを掛け合わせてオリジナルのデザインへと落とし込んでいます。一方、僕らのアイテムはエイジング加工を施すことが前提にあるので、縫製にはタフなワークの仕様を取り入れています」

「ブランドの立ち上げから10年にわたってウエスタンシャツを作り続けてきたので、今では<REMI RELIEF>のアイコニックなプロダクトになりました。なので今後も、ブームであっても、そうでなくても、必ずラインナップしていきます。事実、ウエスタンシャツは今、決してトレンドアイテムではありません。それでも多くの支持を得られているのは、僕らが最も注力しているエイジング加工の表情にあると確信していますし、世界一だと自負しています。たとえ<REMI RELIEF>のタグが付いていなくとも、色落ちやダメージの表情だけで惹きつけられる一着を作っていきたい。今シーズンであれば、同じデザインで5つの加工バリエーションを用意しています」

思い思いのカスタマイズは
ウエスタンの正統な楽しみ方です

「今回のカスタムオーダーイベントのメニューにもありますが、<REMI RELIEF>のウエスタンシャツを特徴づけるひとつに、スタッズワークがあります。このアイデアはブランド設立から間もない頃、<BEAMS PLUS>からのアドバイスで生まれたものです。ほかにもデニム生地でリペアしたタイプ、パッチや刺繍など多種多様な装飾を展開していますが、件のとおりウエスタンシャツの出自は “ 魅せる ” ためのコスチューム。また古着を補修し、ワッペンや刺繍でリメイクしていたヒッピーたちがそうであったように、その歴史から逸脱していない正統な楽しみ方なのだと思います。そもそもが衣装、つまりファッションアイテムとして産声をあげ、連綿と受け継がれてきた元来の魅力は今日まで生き続けており、そして行く先も変わらないのではないでしょうか」

EVENT info.

REMI RELIEF CUSTOM ORDER EXHBITION

<REMI RELIEF>のウエスタンシャツをカスタムできるオーダー会を全国4店舗で開催します。
色、素材、パーツ、加工等をお客様のお好みにカスタマイズする事ができます。

詳しくはこちら
Shop Info.

今回ご紹介したアイテムは<BEAMS PLUS>の各店舗で取り扱い中です。

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JPEN
PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS

volume.05