ISSUE

Tote Bag

GUEST

Shinshu Kosuzume

from BRIEFING

2019.03.20

PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS

VOL.08

<BEAMS PLUS>のワードローブになくてはならない
普遍的なアイテムを作ってきた識者たちの、
見解やエピソードから紐解く知られざる魅力。
それは過去の名品を未来のスタンダードへと
紡ぐために必要なストーリーであり、
<BEAMS PLUS>が大切にしたい新しいフィロソフィー。

vol.08

小雀 新秀(ブリーフィング・デザイナー)1966年生まれ。大手バッグメーカーでデザイナーとして活躍したのち、1999年セルツリミテッド(現ユニオンゲートグループ)に入社。バッグブランド<WRAPS(ラップス)>やOEMのデザインを手がけつつ、<BRIEFING(ブリーフィング)>のブランド立ち上げにも携わったブランドメインデザイナー。メイド・イン・USAのプロダクトを400型以上、1人で担当し、数々のヒット作を世に出す。現在は、5名からなるクリエイティブ本部 デザインセンター長を務めている。

ミルスペックの生産背景を生かしながら
時代の変化に対応し、認められるように

ボカボカと詰め込んで、 ボンって車に積み込む
アウトドア発祥のトートバッグは、アメリカ的

「私がこの業界に入った約30年前は、ビジネスバッグかスポーツ、アウトドア系ばかりで、世界中を見渡してもスーパーブランドを除き、ファッションと呼べるバッグはほとんどありませんでした。その点、日本のバッグ業界はとても先駆けであったと思います。電車で移動する際には、どうしても使い勝手や軽さや耐久性を求められる。しかし当時、トートバッグは女性のもの、と思われていました。紙袋、というかショッパーの延長みたいな感覚。中身が入っていないとクタッとしてしまうものが多かったと思います」

「例外といえば<L.L.Bean>のキャンバストート・バッグ。アイビーファッションの影響で日本でも’70年代から’80年代にかけて、学生向けに流行ったのが最初だと思います。しかし本来はアウトドアの用途から生まれた、トートの走りのような存在で、何でもボカボカと詰め込んで車にボンって積み込むのは、とてもアメリカ的です。シンプルなデザインを、カラーリングで見せることによってスタイリングに溶け込ませたよい例ではないでしょうか」

トートバッグの概念を革新した、ブランド初期の名作。

書類がきちんと収納できて、自立できる
そんなトートバッグは、30年前になかった

「そんな中<BRIEFING>は、設立初期からトートバッグを作り続けています。最初のモデルは、拳銃を入れて弾を入れて運ぶためのショットガンケースをモチーフにしたコレクショントートです。これをリサイズして、書類などを入れられるように、かつ自立するバッグを作りたかった。そうすれば男性でも使えるんじゃないかと。それまでは、書類をきれいに収納できるトートバッグがなかった。今でこそ当たり前ですが、世の中になかったデザインだったと思います。30年前は、トートバッグで会社に行くなんてあり得ませんでした。それまでの主流といえば、レザーのブリーフケースでした。確かにスタイル的にはかっこいいのですが、ただでさえ重いのに、書類を入れたらさらに重くなる。現在、3WAYのバッグが流行っているのと同じように、ビジネスマンの持ち物やスタイル、そして働き方の変化によって、トートバッグは自然と男性に受け入られるようになったと思います」

ハンドルがバッグの顔を作る

初期モデルのトートバッグは鉄製の8カンを使用。
経年による錆が、ビジネスマンのネックとなった。

マットなダイキャストをオリジナルで開発。
目立たないデザインは、ミリタリーの精神に通じる。

※8カン……8の字型の金属製の輪の総称。
※ナスカン……茄子のような環状の金属製部品のこと。
※ダイキャスト……金型に溶融した金属を圧入して生産された鋳物のこと。

「トートバッグとブリーフケースの大きな違いは、どう持つかの違い。そこにはハンドルの長さが影響しています。短いハンドルは持ちやすいけど、肩から掛けられない。一方で長すぎると本体が安定しないし、手で持った時に地面に本体が擦れてしまう。ハンドル周りがバッグの顔を作るとも言われているくらい、その考え方が全体のデザインを決定しています。<BRIEFING>では、昔から変わらず同じ太さのウェビングベルトと8カンを使い続けています。ビジネスマンに向けて作ったバッグではないのですが、スーツやジャケットスタイルに使ってくださる多くの方を考えて、最初は強度の高い鉄製の、それこそミリタリーで使われる8カンから、オリジナルのダイキャスト製に変更しました。鉄は、使い続けると錆びてしまうので、ヴィジュアル的な理由です。あとはそれを受けるナスカンがダイキャストだったので、そろえました。強度の異なるもの同士で引っ張り合うと、擦れた時に弱いほうが磨耗してしまうので」

「ファスナーはYKKです。これはミリタリーの世界でも同じこと。命に関わる製品に使われているパーツは、信頼性がすべて。古き良きアメリカを感じるメーカーは他にもあります。しかしウェアであれば何でも良いのですが、何度も開け閉めして、強度や耐久性が求められると、8カンのように金属だと削れてしまう。使う用途によってどう素材やパーツを選択するかを、大切に考えています」

※8カン……8の字型の金属製の輪の総称。
※ナスカン……茄子のような環状の金属製部品のこと。
※ダイキャスト……金型に溶融した金属を圧入して生産された鋳物のこと。

<BRIEFING>が手がけるバッグの一部のコレクションは創業当初からアメリカで生産。
軍用バッグや特殊バッグを製造している軍需バッグ工場に製造を依頼している。

縫い代の部分にも、ものづくりのこだわりが出るという。

アメリカ製は合理的、日本製は効率的
進化を繰り返して、道具として成立させた

「メイド・イン・USAはこだわりの一つですが、実際に日本や中国とアメリカにおけるものづくりの考え方はまるで異なります。アメリカは合理的にものを作る国。だから工程が増えるほど工賃が高くなります。1枚の布で作った方が、縫製箇所が少なくなるし、生地の強度も高くなるという考えです。対して日本や中国などは、生地をどれだけ効率的に使うかを考えるので、どうしてもつくりが細かくなる。そして<BRIEFING>に関しては、一つのミスが人命に関わるミリタリーのファクトリーで作っているので”壊れない”が前提にある。そうしたところで実際にバッグを作れる環境は、大きなメリットです。それらを踏まえて、どう日本の市場にどうリアルに落とし込むかが、私たちの作業になります。サープラスものって、ファッションとしては使えても、タウンユースとしての使い心地を考えられていません。どんなに見た目が良くても、道具として成り立っていないと、とくに男性はすぐに使わなくなってしまいます。ミルスペックを生かしながら、日本にあった素材などを取り入れ、リニューアルを重ねてきました。ある意味戦場よりも、日本の通勤シーンの方が、酷使されているかもしれません」

アメリカ空軍のフライトジャケットを
彷彿とさせるエアフォースブルー。

10年前の別注で使用したコーデュラ生地のミリタリーカラーのホリアージュ。
当時は内装をエマージェンシーカラーのオレンジに配色した。

「最新の<BEAMS PLUS>別注は、20周年の集大成ともいいましょうか。過去に使用したことのある、バリスティックナイロンと、コーデュラの500デニールと1000デニールをすべて盛り込みました。このグレーに関しては、10周年記念の別注で使用し、好評を頂いたホリアージュというミリタリーカラーを再び採用しました。もちろん適材適所でレイアウトし、意味のある落とし込みを考えています」

20周年記念の<BEAMS PLUS>別注のデザインシート

Item Info.
BEAMS PLUS 20th ANNIVERSARY
BRIEFING × BEAMS PLUS

(Left) CRAZY Fleet Messenger /
Color : CHARCOAL GREY, BLACK, NAVY / Price : ¥24,000+tax
(Center) CRAZY Helmet Bag /
Color : CHARCOAL GREY, BLACK, NAVY / Price : ¥56,000+tax ※2019年6月入荷予定
(Right) CRAZY 3WAY Bag /
Color : CHARCOAL GREY, BLACK, NAVY / Price : ¥56,000+tax

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Shop Info.

今回ご紹介したアイテムは<BEAMS PLUS>の各店舗で取り扱い中です。

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JPEN
PHILOSOPHY OF BEAMS PLUS

volume.08